第二章

1/9
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

第二章

ゼラが目を覚ますと、マヤはいなかった。 どうやら、しばらくの野宿で気疲れしていたのか、かなり眠ってしまっていた様だ。 マヤとゼラが寝ていたのは台所だったせいか、強烈なダルバードの匂いがした。 匂いの方を見てみると作り置きしてあり、近くに置いていた紙に、食べて、と汚い字で書いてあった。 ……マヤは字が書けたんだな。 ゼラはそう思うと、少し微笑んだ。 ネパールでの教育制度は、就学前教育(幼稚園) 1~2年、初等教育(小学校)5年(6歳から) 中等前期教育(中学校) 3年、中等中期教育(高校) 2年を終了すると、全国共通卒業認定試験を受ける。 小中高10年間では国際標準に2年間不足しているので、過渡措置として中等後期教育2年か、大学の教養課程2年に進む(新教育制度案は12年で、小学校1~8、高等学校)9~12年にする予定となっていた。 ネパールの教育の格差は、そのまま貧富の格差と同じで、地方と都市の格差がそのまま学校のレベル。 だが、カーストの低い貧困層は、いくら大都市に住んでいるといっても、学校へすら行けない事が(ほとん)どであるため、自国の言葉すら書けない者が多いのだ。     
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!