第三章

1/10
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

第三章

ゼラはあれからニルヴァーナ・ガーデンという安宿に泊まっていた。 果物売りの老婆から聞いた情報で、中心街にあるホテル内のカジノに足を運んでみた。 だが、7箇所はあると教えてもらったカジノは(ほとん)どが閉店しており、残ったところにも行ってみたが、探していた男はいなかった。 ゼラは思う。 ……カトマンズにいるのは確かなんだけどな。 明日、もう一度カジノへ行って聞き込みでもしてみるか。 ゼラは部屋に着くなり裸になって、着ていた服を洗面所で洗い、部屋干しして、そのままシャワールームへ移動する。 「おっ! お湯が出るんだな」 ネパールの宿ではお湯が出ないところも多いので、ゼラは久しぶりの暖かいシャワーを堪能(たんのう)していた。 ゼラはシャワーを浴びながら、自分の体を見て思う。 ……私の手足って、こんなにゴツかったか? ゼラは自分の手を触り、太ももを掴んだ。 それは無駄な肉は一切なく、硬く引き締まっている。 ……そのくせ胸と尻は大きすぎる。はっきりいって邪魔だな。 なんでこんな必要ないものが成長したのか……。 次にゼラは自分の胸と尻に触れ、大きなため息をついた。 ……でも、あいつは褒めてくれたっけ……。     
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!