入学

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 うららかな春の陽気。目を覚ました動植物の喧噪。街と自然の香りを乗せて流れる風。光を反射しながら吹雪く桜の花弁。丘の上にそびえるまぶしい校舎。初々しく賑やかな僕と同じ新入生たち。  でも、どれもこれも、目にも耳にも鼻にも肌にも、僕には感じられなかった。校門で、明るい笑顔で出迎えてくれた一個上の佐倉先輩、彼女が僕の純情を打ち抜いてしまったからだ。 僕の高校生活は、スタートからサクラ色に染まりきっていた。
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