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そう言ってタリエシンは、アマリヤを上目遣いで見る。すると、アマリヤは編み込んでいた自分の髪をほどき始め、櫛を通した。
「やっぱ初めてだと、お手本見ながらでないと難しいよな。私がお手本見せるから、一緒にやってみよう」
櫛を通しほぐれたアマリヤの髪は、元々の癖なのか、編んでいたから付いたものなのかはわからないけれど、緩く波打ち、毛先はくるりと丸まっている。
白銀の髪を期待の眼差しで見ているタリエシン。その藤色の髪をアマリヤがまた丁寧に梳る。すっかり髪の状態を整えると、アマリヤが自分の肩に流した髪を三つ叉に分ける。それを見てタリエシンも真似をする。
一房ずつ丁寧に、髪の毛同士を編み、絡ませ合う。ゆっくり、ゆっくりとお手本を見ながら自分の髪を弄っているタリエシンだったが、気づけば毛先まで上手に編むことが出来ていた。
「あっ、編めました!」
「おお、上手上手。これならもうひとりで編めるかな?」
初めて自分の髪を編んでタリエシンは感動するが、でも、すぐにお手本無しで編める自信は無かった。
「えっと、もう一回練習するので、見ていてくれませんか?」
伺うようにそう言うタリエシンに、アマリヤはにっと笑って、もちろん構わないと返す。それから、また丁寧にタリエシンの髪をほどき、櫛で丁寧に梳いた。
「そう言えば」
「ん? なんだい?」
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