9:花咲く少年たち

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9:花咲く少年たち

 マルコとタリエシンが修道院に入り、三年が経った。修道士になるための修行期間は三年間で、それはつまり、あのふたりがついに修道士になったと言う事だ。  新しい修道士を迎える儀式の後、エルカナはマルコのことをぎゅうと抱きしめ、修道士になれたことを祝福した。  心根が優しくおっとりした、けれども少しぼんやりとしてるマルコは、いつしかエルカナにとって弟のような物になっていた。エルカナに、血の繋がった兄弟は居ない。だからこそ、自分を頼り、時に甘えてくるマルコが可愛くて仕方がなかったのだ。  本当に、自分に弟が居たとしたら、こんな感じなのだろうか。エルカナはマルコを見る度にそう思う。その弟のような彼が、無事に修道士になれて喜んでいる姿は、エルカナにとっても喜ばしい物だった。  エルカナがマルコと喜びを交わしあっていると、その傍らではアマリヤとタリエシンもお互い抱きしめあい、喜びを共有していた。これからは、四人とも修道士としての長い道のりを歩いて行くのだ。その間、つらいことやかなしいことは、勿論あると思う。けれども、仲間であり兄弟であるみんながいれば、乗り越えられるような気がするのだ。     
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