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これからまた、修道士見習いが入ってきたら、優しく見守りたいとエルカナは思う。実際、今はマルコとタリエシンが面倒をみている修道士見習いがひとりいる。この修道院には兄弟が沢山いるのだから、どうか希望に満ちた若人が、道を踏み外さないでいてほしい。そう思って、エルカナは自分になにが出来るだろうと思い、マルコが修道院に来てからの三年間を思い出す。そして、思い返してみると、案外自分がマルコに救われている事もあることに気付く。寒い夜に両親が恋しいと、一緒に寝ていたマルコ。その時自分も、その温もりに安心していた。
修道士になった以上、今後はそう言う機会は無くなるかも知れないけれど、本音は、まだ可愛い後輩に甘えられていたかった。
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