*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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「まさか物足りないからって、俺以外の奴と、まだ遊んでんじゃないだろうな?」  ――カチンと来た。  オレはてっちゃんの背中を睨みつけて、だけど何故か、口元には薄っすらと笑みを浮かべていた。 「……なに、それ。ヤキモチ焼いてんの?」  そう言った瞬間、鬼のような目がギロッとこちらを振り返った。  てっちゃんがベッドの上を飛び越えて、オレに襲いかかってくる。そのあまりにも俊敏な動きに、オレは圧倒されそうになった。  胸ぐらを掴まれかけて、思わずベッドの上に突き飛ばした。  てっちゃんはキレイなフォームで受け身を取ると、すぐさま立ち上がり、またオレに向かって突進してくる。  猪突猛進とは、このことだ。  てっちゃんはオレの腕を掴み、ぐっと体勢を低くして――あとは一瞬のことだった。  ぶわっとオレの体が宙に浮いた。  スローモーションのように視界がぐるりと回転する。  そして鈍い衝撃と共に、オレの背中はベッドに沈んだ。  見事な一本背負い。  ベッドの底が抜けるかと思った。  たわんだスプリングに揺さぶられながら、オレはてっちゃんを指差して叫んだ。 「なッ……てっちゃん、元サッカー部だって言ってたじゃんか! 柔道の経験もあるのかよ?! 汚えぞ!」 「何が汚えんだ馬鹿野郎! お前だってちょっとくらい、体育の授業で習っただろッ!」  オレを指差して怒鳴ると、てっちゃんはまた猪のように突進してきた。
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