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アオバはベッドの横の棚に置いたリモコンに手を伸ばし、寝室の明かりのトーンを少し暗くした。
そして俺達は抱き合い、静かにシーツに体を沈めた。
ブーンと微かにエアコンが振動している音がする。
向かい合ってキスをしながら、Tシャツの裾をたくし上げられた。エアコンの冷気に触れて鳥肌が立ちそうになったけど、すぐにその上を、アオバの暖かい手のひらが這っていく。
俺はアオバの首筋を唇でなぞり、いつもされているように、舌でぺろりと舐めた。微かにしょっぱい。
室内の温度は快適に調整されている。だけど俺もアオバも、体が火照って汗が滲み始めていた。
――ああ、興奮しているんだ。
そう思ったら、嬉しくなった。
首筋に、Tシャツの襟から覗く鎖骨に――夢中でその塩気に舌を這わせると、アオバは恍惚とした溜息をついた。
アオバの手が俺の下半身に伸びる。
俺も同じように、手を伸ばした。
アオバに手淫されていると、なぜかいつも俺の脳裏に、昔見た戦争映画に登場する海兵隊学校の口汚い鬼教官の顔が浮かんでくる。
鬼教官は、いつの間にか初年兵と化した俺に向かって、「キサマはやるだけやらせておいて、相手のマスかきを手伝う外交儀礼もない奴か?!」と罵声を浴びせてくるんだ。
俺はそんな無礼者にはなりたくないし、ただ快感を与えられているだけじゃ、やっぱり人として、駄目だろう。だからこうしてアオバの射精の手伝いも、ちゃんとするというワケだ。
……というのは半ば言い訳で。
本当は興奮が高まってくる内に、アオバを悦ばせたいという気分になったり、期待に応えなければ男が廃ると焦ったり、頭の中がぐちゃぐちゃになって、いつも気がつけば夢中で股間に手を伸ばしてるんだけど。
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