482人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
側にアオバがいて邪魔かどうか? それなら答えはこうだ。
「別にそうでもない」
「本当かね」
「本当さ」
本当に、こいつは俺にとって少し特別な存在かもしれない。うまく言えないけど、他の誰とも違って心地いいと感じている自分がいる。最初は違う星の人みたいに思っていたけれど――
アオバは嬉しそうに目を細めて、首を傾げて俺の顔を覗き込む。
「オレもねえ、どっちかっていうと一人でいるのが好きなタイプよ」
「……そういう風には見えないけど」
「じゃあどういうタイプに見えんの?」
「仲間集めて河原でバーベキューやるのが好きそう」
「なにそれ?」
プッと吹き出して、アオバは水平線を見つめた。
俺はその鼻筋の通った横顔を、綺麗なシルエットだな、なんて思いながらしげしげと眺めた。
アオバは「まあ、賑やかなのも悪くはないけど」と前置きをしてから、ぽつりぽつりと言った。
「結局人間って、居心地がいいところに落ち着くようにできてるっていうかさ、そういうのあるよね」
「……うん」
「だからオレは一人でいるか、てっちゃんと一緒にいるのがいい」
海の向こうを見つめているその目が、キラキラと輝いているように見える。
俺はちょっと照れくさくなって、膝に顎を乗せて、足先で砂浜を掻いた。
「お前、俺と居て楽しいんだ?」
「楽しいよ」
「俺バーベキュー嫌いだよ? うるさいし、埃っぽいから」
「バーベキューはもういいってば」
アオバは笑って、静かな声で続けた。
最初のコメントを投稿しよう!