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馬鹿なことをしていると思いつつも、動き出した自分の手を止められない。
目の前のベルトを外し、ジッパーを下げる。むっとした熱気を、鼻先に感じる。
俺はボクサーパンツ越しに、そこにキスをした。コリコリと硬さを持ち始めている。首を傾け、何度も唇でついばむと、少しずつ硬さが増していく。
チラリと目だけでアオバを見上げた。
太陽の眩しさに、目を細める。逆光の中に、徐々に興奮に取り憑かれていくアオバの目が見える。
ボクサーパンツの履き口から、いつの間にか、勃起した先端が覗き始めていた。
俺はごくりと唾を飲み、深呼吸をした。
緊張と興奮に震えながら、下着に手をかけ、ゆっくりと下ろそうとする――その手を、アオバが掴んだ。
不安に襲われながら、顔を上げる。
「……嫌なのか?」
アオバは静かに、首を横に振った。
「ううん、すげー嬉しいよ。でも今日はやめとこう」
「なんでだよ」
汗っぽい俺の髪を優しく撫でながら、アオバは微笑む。
「そんな辛そうな顔してる時に、させられないよ」
「……してねえよ」
「してるよ」
「…………」
俺はぐっと目を閉じて、項垂れた。
そのままアオバの太ももに、ガツガツと何度も頭突きをする。
一体何をやっているんだろう。
というか、俺はこんな時に、こんな事しか出来ないのか? 情けなくて、辛い。
体の力が抜ける。アオバにしがみついたまま、ずるずると体勢が崩れていった。川の水が、俺の膝から太もものあたりを乗り越えて、流れていく。
肌が痛くなるほどに、水は冷たかった。
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