*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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「……」 「……もう終わり? じゃ、俺も揉んでやるよ」  血行が良くなったのか、てっちゃんは赤い顔をして起き上がった。  交代しよう、と手招きしてくる。オレはその手首を掴んで、今度は仰向けに、てっちゃんをソファに押し倒した。  顔の横で両手首を押さえつけて、じっと見下ろす。  オレを見上げるてっちゃんの目が、次第に捕食者に捕われた小動物のように潤んでくる。  この表情が、たまらない。  思わず覆いかぶさって、ぎゅっと抱き締めた。 「うぐっ……痛い痛い痛い」  てっちゃんが(うめ)くのにも構わず、思いっきり力を込めて、抱き締め続ける。 「痛いっての」  ピシッと側頭部を叩かれて、オレは我に返った。  さすがにやりすぎた。慌てて体を起こし、ペコリと頭を下げた。 「ご、ごめん」 「どうしたんだよ?」  てっちゃんはオレの頭に手を伸ばして、叩いたところを撫でてくれる。  その愛情に満ちた表情に、キュンと胸が、そして下半身が疼いた。  抱きたい――ムラムラと、衝動が湧き上がる。  揉みくちゃになってキスをしながら、てっちゃんの体温と同化したい。体の上も下も繋げて激しく愛し合いたい。それくらい、てっちゃんが欲しい。  オレの中の猛獣が、(オリ)の中で吠えまくっている。獰猛なそいつを、オレはいつも鞭で叩いてどうにか鎮めるんだ。  オレはもう一度てっちゃんに覆いかぶさり、今度はそっと、その体を柔らかく抱きしめた。  てっちゃんは、優しく背中を撫でてくれる。  てっちゃんが無理してオレに合わせているんじゃないと分かって、ホッとした。  でも今、オレは無理してるぞ。だいぶ。
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