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「……」
「……もう終わり? じゃ、俺も揉んでやるよ」
血行が良くなったのか、てっちゃんは赤い顔をして起き上がった。
交代しよう、と手招きしてくる。オレはその手首を掴んで、今度は仰向けに、てっちゃんをソファに押し倒した。
顔の横で両手首を押さえつけて、じっと見下ろす。
オレを見上げるてっちゃんの目が、次第に捕食者に捕われた小動物のように潤んでくる。
この表情が、たまらない。
思わず覆いかぶさって、ぎゅっと抱き締めた。
「うぐっ……痛い痛い痛い」
てっちゃんが呻くのにも構わず、思いっきり力を込めて、抱き締め続ける。
「痛いっての」
ピシッと側頭部を叩かれて、オレは我に返った。
さすがにやりすぎた。慌てて体を起こし、ペコリと頭を下げた。
「ご、ごめん」
「どうしたんだよ?」
てっちゃんはオレの頭に手を伸ばして、叩いたところを撫でてくれる。
その愛情に満ちた表情に、キュンと胸が、そして下半身が疼いた。
抱きたい――ムラムラと、衝動が湧き上がる。
揉みくちゃになってキスをしながら、てっちゃんの体温と同化したい。体の上も下も繋げて激しく愛し合いたい。それくらい、てっちゃんが欲しい。
オレの中の猛獣が、檻の中で吠えまくっている。獰猛なそいつを、オレはいつも鞭で叩いてどうにか鎮めるんだ。
オレはもう一度てっちゃんに覆いかぶさり、今度はそっと、その体を柔らかく抱きしめた。
てっちゃんは、優しく背中を撫でてくれる。
てっちゃんが無理してオレに合わせているんじゃないと分かって、ホッとした。
でも今、オレは無理してるぞ。だいぶ。
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