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「…………」
散々に喚き散らし、ハアハアと肩で息をした。
てっちゃんも呼吸を荒げながら、瞬きもせずにオレを見つめている。目の前の喉仏がゴクリと上下に動く。
「……俺が『挿れてくれ』って、そう言わなきゃお前、一生我慢するのか」
少し落ち着いたのか、てっちゃんは静かに低い声で言う。
オレも興奮を抑えるように、低い声で答えた。
「そうだ」
「俺が自分から求めるくらい、気持ちの上でもフェアになりたいってことか」
「そうだ!」
「……」
てっちゃんは眉間にしわを寄せて、また黙り込んだ。
何十秒、いや何分そうやって睨み合っていたんだろう。
シンと空気が静まり返る中、目の前の乾いた唇が、ゆっくりと開いた。
「……じゃあ…………『挿れて欲しい』」
「えっ?」
気まずい沈黙を破ったのは、震えるような、か細い声だった。
オレは急激に冷静さを取り戻し、気遣うように、てっちゃんの頬を撫でた。
「……てっちゃん。それ、オレが無理やり言わせちゃってる感じだよね?」
「…………」
てっちゃんはゆっくりと首を横に振る。
「そりゃあオレ、本当はてっちゃんともっと色んな事したいけど……だからって、てっちゃんに不満とか、他所で男遊びとか、そんなこと本当に無いよ?」
オレがそう言うと、今度はコクンと頷く。目を伏せたその表情は、しおらしく、不安げだった。
ああ、やってしまった――
「ごめん、余計なこと言って、不安にさせたんだね。謝るよ」
「……」
「ちょっとヤキモチ焼かせたかっただけなんだよ。本当にオレ、今はてっちゃんだけだよ」
「いや、元はと言えば俺が……こっちこそ、ごめん」
てっちゃんをなだめるように、唇にちゅっとキスを落とした。
「いいんだよ」
そう言うと、てっちゃんは一瞬、らしくもない泣き出しそうな顔になって、オレにしがみつき――そしてキスをし返した。
ぎゅうっと抱き合って、舌を絡める。離れようとすると、その動きを追って、てっちゃんはさらに深い口付けを求めてくる。
オレ達は時間を忘れて、溶け合うようなキスを続けた。
切なくなった。
オレはいつの間に、こんなに愛されていたんだろう。
こんなに想ってくれているてっちゃんを試すようなことをして、オレは馬鹿だ。
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