*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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 * * *  てっちゃんは呼吸を整えようと、必死の様子だった。  去年までは『押し倒す側』としてラブホテルに来ていたはずのてっちゃんを、今度はオレがベッドに押し倒して、逞しい体に指を埋めている。  その征服感に、オレは興奮していた。 「もう、大丈夫かも……挿れてみようか?」  そう尋ねると、てっちゃんは黙ってコクンと頷いた。  ゆっくりと、束ねた指を引き抜く。それと同時に、てっちゃんの口から溜息が漏れた。  薄暗い照明の下に、手をかざす。オレの人差し指と中指と薬指が、濡れてぬらぬらと光っている。  視線を手の向こう側に向ける。  何度もローションを垂らし、時間をかけてゆっくりとほぐしたそこは、指を抜いた後もぽかんと小さく口を開けている。  指を挿れただけで、てっちゃんはぐったりとして、肩で息をしていた。  いつもは前髪を上げて露出している額に、汗で髪が張り付いている。その下の、トロンと(とろ)けるように潤んだ目が、オレを見上げてくる。  その色気にあてられて、オレのそこは刺激しなくても勝手に勃ちあがっていた。  手早くテキパキとゴムを装着し、枕をてっちゃんの腰の下に入れて、尻の位置を高く上げさせる。  そして先端を、赤く充血した(つぼみ)に添えた。  これからオレは、てっちゃんを抱くんだ。  誰も犯したことのない急所に入り込んで、てっちゃんをオレだけのものにして、オレもてっちゃんだけのものになる。 「てっちゃん、挿れるよ」 「う、うん」 「深呼吸して」 「……」 「緩めて。少しいきむ感じ。大丈夫だから。そう、そう……」  声を掛けながら、ゆっくりと押し入る。  一番大きなところが入ってしまうと、あとはローションのぬめりを借りて、ずるずると奥に向かって進んでいく。 「んん……」  てっちゃんは眉間にしわを寄せて、震えている。  痛みが無いか、注意深く様子を見ながら、腰を進めた。  ああ、入っていく……てっちゃんの中に――
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