*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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 中はキツい。締め付けが強すぎて、少し痛いくらいだ。 「リラックスして。吸って、吐いて、吸って、そうそう、力抜いて……」  なんだか、泌尿器科の処置室みたいなノリになってきた。行ったことは無いけれど。  てっちゃんも緊張を解こうと、オレの声に合わせて、必死に呼吸している。  その時、オレの陰毛がてっちゃんの肌に触れた。  全部入った――脳みそがそう理解した途端、爆発するような、とてつもない幸福感に襲われた。  暖かい粘膜に包まれた部分から、全身に痺れるような快感が走る。  弱い部分への侵入を許してくれた、てっちゃんへの愛おしさが膨れ上がる。  愛する男と結ばれ、一つの肉の繭になる幸福を、オレは噛み締めた。  前のめりになって、その体をぎゅっと抱きしめる。 「……」  言葉にならない。  何の言葉も出てこない。  ただひたすらに幸福で、てっちゃんが愛おしい。  息も絶え絶えにキスを繰り返し、お互いに何度も、頭を撫でた。 「…………好きだ」  目を見つめて、必死の思いで告げた。  てっちゃんは黙って、コクンと頷く。 「……好きだよ、てっちゃん」  てっちゃんは何度も頷いて、オレにすがりついた。  頬を両手で挟んで、またキスをする。唇を(ついば)む度に、少しずつ体のこわばりが溶けていく。 「てっちゃん、ほら、全部入ってるよ」  オレはてっちゃんの手を掴んで、繋がっている部分を触らせた。  興奮して、つい意地悪がしたくなった。  付き合っていくうちに気付いたことだけど、てっちゃんはちょっとだけ、こういうのが好きみたいだから。  触らせた途端、てっちゃんの体にまた緊張が走った。  強く締め付けられ、グッと息が詰まったけれど、オレは懲りずに耳元でささやいた。 「こんな風に、てっちゃんの体が、オレのを根本まで飲み込んでるんだよ。すごくない?」  ぬるぬるとローションまみれの接合部を、指でなぞらせる。
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