*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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「……」  てっちゃんの呼吸が、次第に荒くなっていく。  何も言わないけれど、その表情は明らかに興奮の色に染まっている。   ぞくぞくと、(よろこ)びがこみ上げた。  体を起こして見下ろすと、挿入した瞬間は萎えていたてっちゃんのものが、腹の上で固くなり始めていた。  ローションのついたてっちゃんの指を、そこに添える。 「てっちゃんは、こっち触ってて」  そう言うと、てっちゃんは素直に頷いた。  その手がおずおずと動き始めると、緊張した内部も、少しずつ弛緩してくる。  タイミングを見計らって、オレも埋め込んだ熱を、じっくりと慎重に動かし始めた。 「うっ」  と、くぐもったうめき声に 「大丈夫?」  と尋ねると、またコクンと頷く。  やはり声を出すことをためらっているのか、てっちゃんは目を閉じて、ハアハアと荒い呼吸を繰り返すだけだ。  ゆっくりと根本まで埋め、抜け落ちそうになるギリギリのラインまでぬるりと引き抜く度に、てっちゃんは首を反らして深く息を吐く。  感じ入っているような表情だ。  入り口の強い締め付けに(しご)かれて、オレも気持ちがいい。  下半身がじんじんと疼く。もっと刺激が欲しくなった。  だけど、あまり激しくすると、てっちゃんが痛がるかも知れない。じれったいけれど、ごく緩やかなペースで、前立腺を刺激するようにリズミカルに律動した。 「あ、あ……あっ……!」  途端に、甘い声が上がり始めた。  てっちゃんは慌てて、その口を手で塞いだ。だけど声を止めることができないのか、急所を突かれる度に、喉の奥で喘ぎ続ける。  その感覚が自分でも信じられないらしい。てっちゃんは潤んだ目でオレを見上げ、困惑したように腕を掴んだ。 「アオバ、まっ、待って、ちょっとやめて」  てっちゃんの身体が悦んでいるのをダイレクトに感じて、またぞくぞくと快感がこみ上げてくる。  制止を聞き入れずに、オレは淡々と腰を動かし続けた。
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