*第十二話:最果てで二人【side Aoba】

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 てっちゃんは半分、パニックになっていた。  オレの腕や肩に必死にすがりつき、肌がうっ血するほどに指を食い込ませ、 「う、あっ……いやだ、怖い、こわい」  と、泣きそうな声を上げる。  その耳元に唇を寄せて、 「……怖いの? 気持ちいいんじゃないの?」  と、意地悪くささやいた。  てっちゃんはイヤイヤをするように、首を横に振った。  だけど中はオレの熱を離すまいと、突かれ引き抜かれる度に、きゅうきゅうと締り、痙攣している。  オレは興奮にまかせ、てっちゃんの足を肩にかけて、そのまま押しつぶすように腰を動かした。  途端、てっちゃんの眉間に深くしわが寄る。  ハッとなって、少し動きを弱めた。 「……ごめん、痛い?」 「す、少し……でも……」  てっちゃんは苦しげに、額に汗を浮かべながら、まぶたを薄く開ける。  その顔を覗き込む。 「でも?」 「……」  無言で顔をそらして、てっちゃんは次第にまた甘い吐息を吐き始める。  痛みすら、もはや快感なのか。  ガチガチに硬くなったてっちゃんのものが、体を揺さぶる度に、二人の腹を交互に打つ。 「ア、アオバ……嬉しい……俺、嬉しいんだ……」  てっちゃんはうわ言のようにそう言って、オレの首に手を回して、キスをねだった。  オレは高く上げた足ごと、その体を抱きしめた。  熱い舌を絡め合っていると、二人の身体が溶けて混ざり合っていくような錯覚を覚えた。  てっちゃんと一心同体になっている――そう思うと、果てしなく幸福だった。  てっちゃんの奥の奥まで犯し尽くすように、オレは必死で腰を振った。  そのうち、お互いに声をかける余裕もなくなった。  そしてただひたすら、どちらのものともつかない獣のような呼吸音だけが、薄暗い部屋に満ちていった。
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