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テレビ画面の中から、どっと芸人の笑い声が沸く。
大晦日の夜だもの。どのチャンネルも年末特番で盛り上がっているんだ。
その賑やかな声が、突然ぷつりと途絶えた。
視線を横に向けると、アオバがローテーブルの上のリモコンに手を伸ばしていた。
俺はいつもの如く、いつの間にかソファの上に押し倒されていて、目の前にはアオバの切羽詰まった顔が迫っていた。
「シャワーは……」
「いい、そんなの」
アオバは俺の言葉を遮って、唇にむしゃぶりついてきた。
最近、一年が過ぎるのが早く感じる。
忙しい12月はあっという間に過ぎ、正月休みに入ってからは、俺は連日のようにアオバと一緒にいた。
きっと今頃、俺の1K一人暮らしの部屋は、暗く冷たく静まり返っている。
去年の今頃は、こんな風に年を越す日が来るなんて、思いもしていなかった。
そして今年の正月もやっぱり、俺は実家には帰らない……。
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