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オフロードバイクのシートはめちゃくちゃ硬くて、すぐに尻が痛くなってきた。
これじゃ眠気どころじゃないや。
右手は荷台に、左手はてっちゃんの腰に。
オレはそうやっててっちゃんの背中に張り付いて、ゆっくりと景色が流れていくのを眺めた。
ヘルメットのシールドを上げて、鼻先をさりげなくてっちゃんに近づけてみる。
不思議と落ち着く、暖かい匂いがする。
オレがてっちゃんに抱き着いている時は、いつも背中からだな。
本当は顔を見て、真正面から抱きしめたいけど。
オレはよく、想像の中でてっちゃんを抱く。
この場合の『抱く』は、『犯す』という意味で。
抱きしめて、そのまま押し倒して押さえつけて、激しく攻めたい。いやらしい声で鳴かせてみたい。オレとのセックスじゃなきゃ満足できない身体にしてやりたい。そんな思春期ばりのエロ妄想で、いつも自分を慰めている。
けどこうして実際にくっついていると、暖かくて、安心するっていう気持ちの方も大きい。ふわふわして、本当に不思議な心地になる。
ずっとこうしていたい。
もっとたくさん、てっちゃんと同じ時間を過ごして、触れ合って、笑い合っていたい。
てっちゃんがオレをぎゅっと抱き返して、微笑んでくれたらいい。
そんでいっぱいキスして、大好きだって言いたい。
「アオバ! 起きてるか?!」
てっちゃんが大きな声で呼んでる。
「……起きてるよ」
腰をギュッと掴んで、オレはてっちゃんの肩に顎を乗せて言った。
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