第四話:傷だらけのライダー【side Aoba】

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 * * *  オフロードバイクのシートはめちゃくちゃ硬くて、すぐに尻が痛くなってきた。  これじゃ眠気どころじゃないや。  右手は荷台に、左手はてっちゃんの腰に。  オレはそうやっててっちゃんの背中に張り付いて、ゆっくりと景色が流れていくのを眺めた。  ヘルメットのシールドを上げて、鼻先をさりげなくてっちゃんに近づけてみる。  不思議と落ち着く、暖かい匂いがする。  オレがてっちゃんに抱き着いている時は、いつも背中からだな。  本当は顔を見て、真正面から抱きしめたいけど。  オレはよく、想像の中でてっちゃんを抱く。  この場合の『抱く』は、『犯す』という意味で。  抱きしめて、そのまま押し倒して押さえつけて、激しく攻めたい。いやらしい声で鳴かせてみたい。オレとのセックスじゃなきゃ満足できない身体にしてやりたい。そんな思春期ばりのエロ妄想で、いつも自分を慰めている。  けどこうして実際にくっついていると、暖かくて、安心するっていう気持ちの方も大きい。ふわふわして、本当に不思議な心地になる。  ずっとこうしていたい。  もっとたくさん、てっちゃんと同じ時間を過ごして、触れ合って、笑い合っていたい。  てっちゃんがオレをぎゅっと抱き返して、微笑んでくれたらいい。  そんでいっぱいキスして、大好きだって言いたい。 「アオバ! 起きてるか?!」  てっちゃんが大きな声で呼んでる。 「……起きてるよ」  腰をギュッと掴んで、オレはてっちゃんの肩に顎を乗せて言った。
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