第四話:傷だらけのライダー【side Aoba】

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 * * *  町内をぐるっと一周して、すぐにオレのマンションの前まで戻ってきた。 「目が真っ赤だぞ」  てっちゃんが苦笑いしながら言う。オレもちょっとつられて笑った。 「お人好しなところがあるよなあ、アオバって」 「そうかな」 「事故ったライダーが心配で、つい朝まで付き添っちゃったんだろ?」 「……」 「俺なら救急車呼んだら、あとはまかせちゃうけどな」 「……ゴメン」 「謝るなよ」  てっちゃんはぽんとオレの二の腕のあたりを叩いて、微笑んだ。 「緊急の時こそ、その人の本当の顔が見えるって言うじゃん。アオバは人の為に体張れるような、いい奴だって事だよ」 「てっちゃん……」 「ま、損する性格だなーとは思うけどね」  なんか、てっちゃんがいつもより優しい気がする。オレはジーンときて、また別の理由で目を赤くしてしまいそうだった。  この日は結局、それで解散になってしまった。 「ちゃんと寝ろよ」って言って、てっちゃんはすぐに帰って行った。  オレを休ませる為にそうしてくれた。その優しさが嬉しかったけど、少し寂しくもあった。  オレと違っててっちゃんは、どうしてもオレと一緒にいたい、なんて思ったりしないもんね。  そもそもてっちゃんって、他人に対してあんまり執着心がないみたいに見える。そういうアッサリしたところが、一緒にいて落ち着くところでもあるんだけど。  だけど、やっぱりもう少しだけ一緒にいたかったなあ。 「オレが寝るまで手を握ってて」なんて、冗談めかして言ってみればよかったかな。てっちゃんも、なんだかんだでお人好しだから、呆れながらもそれに付き合ってくれたかも……なんて。  そんな事を考えながら、ベッドの中で目を閉じて、オレはジェットコースターのごとき勢いで眠りに落ちていった。  せめて、てっちゃんの夢を見れたらいい。てっちゃんと一緒に走っている夢を。
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