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なんの色気も無いキスだった。
なぜこんなことをしたのか、自分でもよくわからない。触れた部分から、俺の気持ちが伝わって欲しいと思ったんだ……多分。
恐る恐る唇を離し、アオバの顔を見た。
アオバはじっと俺を見つめてから、眉間にしわを寄せて、ものすごく怒ったような顔をした。
こめかみに青筋を立てているのが、薄暗くても分かる。
いくらなんでも、そんな顔しなくたっていいだろう! たじろいで、後退りしそうになった。
その一瞬の間のことだった。
アオバは後ろによろけそうになる俺の腰を、強く抱いて引き寄せた。
手で後頭部を掴まれた――と思ったら、ガツンと口元に衝撃が走った。
「……ッ」
唇を奪われていた。
遠慮もなく舌が入ってくる。
蛇みたいに俺の舌に絡みついてくる。
絡みついて、吸い上げて、口内を隅々まで舐め回していく。息ができない。くらくらする。
顎の付け根が痛い。俺の口をこじ開けて、アオバは深く深く食らいついてくる。
歯列の裏や上顎のひだを何度も何度も舌先でなぞられて、背筋にぞくぞくと快感が走った。歯医者にしか見られたこともないような部分を舐められている。犯されている。粘膜と粘膜が擦れ合っている。
アオバの荒い吐息が顔に当たる。俺の息も上がってる。興奮してる。思考がとろけそうだ。――このやろ、尻揉んでやがる。駄目だ、俺、完全に勃起してる――
「ちょっと、おたくら何やってんの?」
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