*第八話:肝心な話はいつでも【side Aoba】

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 てっちゃんとの三日間の旅は、オレにとっては思いもよらぬ展開で幕を閉じた。  散々やらかして、てっちゃんの態度もずっとぎこちなくて、オレ達の関係はもう完全に終わったんだと覚悟していたのに。  あの後、オレは勢いまかせに、てっちゃんを自宅マンションに連れ込んでしまった。  日中は暖かくて汗もかいていたけど、シャワーを浴びる時間さえ惜しくて、玄関をくぐってすぐにてっちゃんをベッドの上に押し倒した。  そして抱き合って、数え切れないくらい何度もキスをして、体を触り合った。  てっちゃんの体にはオイルの匂いが染み付いていて、汗ばんだ肌はほのかに塩辛い、海の味がした。  浜辺で花火をした思い出や、2ケツで走った海沿いの景色が脳裏に浮かんで、オレの胸は切なさにジーンと震えていた。  結局てっちゃんは、夜の駐輪場で一体どんな想いでキスをしてくれたのか、何も話そうとしなかった。  ベッドの中で「好きだ」って何度も言ったけど、てっちゃんはその度に小さく頷くだけだった。  でもてっちゃんはオレを拒まなかった。むしろ一生懸命、オレに応えようとしてくれていた。  それが全てだと、オレは思うことにした。  最初の約束通り、肝心の場所は手で触るだけ。  オレはムラムラと高揚する気持ちが治まらなくて、てっちゃんの背中や、脇の下や、ヘソや、膝の裏や、足の指まで舐め回してやった。  てっちゃんは感じまくって悶えていたくせに、事が済んだら 「お前はゴールデンレトリーバーか」 なんて言い放ってきた。 「信じらんねえ……そんなとこ舐めるか普通? 俺が今まで経験してきた性行為って一体何だったんだよ……カルチャーショックだよ」  って、枕に顔を埋めてもじもじしていた。  可愛くて、思い切り抱きしめた。てっちゃんもオレを抱き返してくれて――そしてそのまま眠った。  オレは幸せで胸がいっぱいで、涙が出そうだった。
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