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てっちゃんとの三日間の旅は、オレにとっては思いもよらぬ展開で幕を閉じた。
散々やらかして、てっちゃんの態度もずっとぎこちなくて、オレ達の関係はもう完全に終わったんだと覚悟していたのに。
あの後、オレは勢いまかせに、てっちゃんを自宅マンションに連れ込んでしまった。
日中は暖かくて汗もかいていたけど、シャワーを浴びる時間さえ惜しくて、玄関をくぐってすぐにてっちゃんをベッドの上に押し倒した。
そして抱き合って、数え切れないくらい何度もキスをして、体を触り合った。
てっちゃんの体にはオイルの匂いが染み付いていて、汗ばんだ肌はほのかに塩辛い、海の味がした。
浜辺で花火をした思い出や、2ケツで走った海沿いの景色が脳裏に浮かんで、オレの胸は切なさにジーンと震えていた。
結局てっちゃんは、夜の駐輪場で一体どんな想いでキスをしてくれたのか、何も話そうとしなかった。
ベッドの中で「好きだ」って何度も言ったけど、てっちゃんはその度に小さく頷くだけだった。
でもてっちゃんはオレを拒まなかった。むしろ一生懸命、オレに応えようとしてくれていた。
それが全てだと、オレは思うことにした。
最初の約束通り、肝心の場所は手で触るだけ。
オレはムラムラと高揚する気持ちが治まらなくて、てっちゃんの背中や、脇の下や、ヘソや、膝の裏や、足の指まで舐め回してやった。
てっちゃんは感じまくって悶えていたくせに、事が済んだら
「お前はゴールデンレトリーバーか」
なんて言い放ってきた。
「信じらんねえ……そんなとこ舐めるか普通? 俺が今まで経験してきた性行為って一体何だったんだよ……カルチャーショックだよ」
って、枕に顔を埋めてもじもじしていた。
可愛くて、思い切り抱きしめた。てっちゃんもオレを抱き返してくれて――そしてそのまま眠った。
オレは幸せで胸がいっぱいで、涙が出そうだった。
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