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期待されてると分かると、無理をしてキャパオーバーなことまでしようとする性分なのかもしれない。
今もきっと、オレの期待に応えようとして、必死になってるんだ。
――ええっ? じゃあ結局、てっちゃんって本当のところ、オレをどう思ってるんだ? もしかして、本当は全部嫌なのに、無理してここまで付き合ってくれてるわけ……?
オレはぶんぶんと首を横に振って、てっちゃんに微笑みかけた。
「そんな、無理しなくていいんだよ」
「してねえよ、別に」
「てっちゃんがしたいことを、してくれればいいから」
そう言ったら、てっちゃんは動揺したように
「俺のしたいことは……アオバが喜ぶことだから……」
と言ってまた俯いた。
オレはてっちゃんを落ち着かせるように、肩を撫でた。
「うん。だったら、今は触り合うだけでいいよ」
「……」
「それだけでもオレは十分気持ちいいし、幸せだってわかったから」
ぴたりと側に寄って、てっちゃんの体を抱きしめる。
「てっちゃん、好きだよ」
「……」
「オレ、てっちゃんに『一緒にいると窮屈だ』なんて思われたくないんだ」
「……」
「いつもどおりのてっちゃんでいてよ。オレの前では、無理していい子になろうとしないでさ」
てっちゃんはオレの肩に頬を乗せて、黙っている。
しばらく沈黙が続いてから、てっちゃんはぽつりと掠れた声で呟いた。
「……んなコト言われると、余計に困るよ」
「どうして?」
「……わかんねえよ、自分でも……」
オレはてっちゃんの背中を撫でた。
そりゃそうか。てっちゃんだって、まだ色々と混乱してるんだ。オレとしては、てっちゃんとこうしていられるとすごくハッピーだけど。
大切にしなきゃ。
じゃないとてっちゃんは、いつか自由を求めてフワーッとどこかに行ってしまうかもしれない。
てっちゃんの肩にアゴを乗せて、背中を撫でていたら、ギュッと強く抱き返された。
驚いて顔を見ようとした瞬間、唇に柔らかい感触が当たった。
てっちゃんにキスされていた。求めるような口付けを。そのキスには、てっちゃんの意思が確かに込められているように感じた。
もう一度てっちゃんをソファに沈めて、覆いかぶさった。
てっちゃんは首を伸ばすようにして、オレにキスの続きをする。
「好きだ、てっちゃん……」
何度も何度も言った。
だけど、やっぱりてっちゃんは遠慮がちに頷くだけで、何も言わなかった。
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