塩を求めて

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 採掘用の服に着替え兜を被った。つるはしを握ると、キコは立ち上がってこちらを見ていることに気づいた。 「私もご一緒しましょう」 『止めておきな。いくら天使でも落盤に巻き込まれたらタダじゃ済まないし、あそこには吸血こうもりが何匹もいるんだ。無事に採掘できるのなんて僕くらいなものだよ』 「そうですか…では、このまま待ちましょう」  預かった袋は結構大きい。僕はカバンを背負うと、預かった袋は小屋に残した。  袋を背負い、歩き慣れた山道を登って行く。つるはしも袋の中に入れた方が楽なのだが、動物が襲ってこないとも限らない。 『これがいいかな?』  倒木を拾い上げると思いのほか軽いことに気付いた。まあ、松明としては十分な大きさだろう。その先にぼろ切れを巻き付けると、杖代わりにして先を急いだ。  しばらく歩くと、小鳥は相変わらず子育てに追われていた。よくひな鳥の様子を眺めると、身体もすっかり大きくなり巣立ちも時間の問題といった様子だ。  おや、親鳥がピーピーと叫んで威嚇し始めた。収穫量が大したこと無ければ、お邪魔することにしよう。     
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