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ライナは咳と共に、笑みを浮かべて僕の頬を撫でた。彼女が何を言おうとしたのかはわからないが、その時の光景は、カースド・シングルとなった今でも、昨日のことのように思い出す。
僕は目を開けると、目の前のマルチ、キコ、アマ、統領の顔を眺めた。
『王国も、人も、魔狼の名も、大嫌いだ。だけど…ここに住み続ける理由がある』
キコは言った。
「わかりました。今回の件…我々も手を貸しましょう。ただ…」
僕はキコを見た。その目はしっかりと僕にくぎを刺している。
『敵の敵だから協力してくれる…でしょ?』
「違います。神族は魔狼は許さない。狼族のシングルに…我々は手を差し伸べます」
嬉しく思えた。やはり天使はこうでなくては。
『わかりました。商談成立…だね』
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