ナイトキラー

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 悩んでいたら、兵士のひとりが袖でバイザーの雫をうっとうしそうに拭った。 ――敵の前で、こんな行動はしない  身体が勝手に意思を持ったかのように、ナイフを握り締めていた。行くと心の中で囁くと、足が軽やかに動いていく。兵士が袖から手を離したとき、そのナイフは鎧の付け根に突き刺さった。 「ぎゃあ!」  兵士が叫び声を上げると同時に、僕は兵士の腰に差していた短剣を奪い取った。そして、隣の戦士の腰へと突き刺す。そして、その兵士からも短剣を奪い取って、別の戦士の腹部を貫いた。3人目の戦士のナイフを奪ったところで、戦士の1人が叫んだ。 「て、敵襲!」  その声と共に、僕はやぶの中へと飛び込んで姿を消した。兵士たちは水滴を振り払いながら周囲を見回していた。するとそこに統領が茂みをかき分けて突っ込んで来た。  一気に4人もの兵士が突き飛ばされて転倒した。兵士たちは突然の攻撃に慌てて槍やクロスボウを構えようとしたが、槍を逆に持ったり、安全装置を外さないままクロスボウを撃ち出そうとした。  僕は再び茂みの中から飛び出して、背後から隊長の背中にナイフを突き刺した。  隊長の断末魔が響くと、僕は血に染まったナイフを引き抜いて、天に向けて掲げた。     
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