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塩を求めて
家畜をソーセージにするには多くの塩が必要だ。その事を思い出しながら、僕は兵士の持つ革袋を眺めた。受け取れば、王国の徴用の片棒を担ぐことになる。
返事をしようとしたが声が出ない。身体、いや良心が抵抗しているのだろう。
風が吹き、木々がざわついた。
『引き受けましょう』
心臓が音を立て、体全身が火照っていた。まるで湯船に浸かった後のようだ。兵士たちもまた険しい顔をしたまま頷いた。
「では前金だ…」
僕は差し出された金貨を受け取った。これでもう引き返すことは出来ない。兵士たちと受け取り場所を打ち合わせると、小屋へと戻った。
小屋の中ではキコが桶に入ったビールを樽に移し終え、一つ一つに蓋をしていた。
『ありがとう、やっておいてくれたんだね』
「どういたしまして。それよりも…何かあったのですか?」
兵士に告げられたことを説明すると、キコは心配そうに言った。
「それで住民たちが納得するとも思えませんね」
『まあ、村に今いるのは女性とか子供ばかりだから…』
「引き受けるのですか?」
『下手に逆らうと、僕も徴用の対象になってしまうからね』
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