塩を求めて

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「私ももう年だ。お前と会うことも、もう無いだろう」 『そう…ですか…』  少し間を置くと、隊長は言った。 「実は、君の塩を妻がとても気に入っていてね。多く持ってきてくれてよかった。これでしばらくの間は困らない」  こういう時、どう声をかけたらいいのだろうか。少し考えたが、やはり、ありがとうと答えるのがいいだろうか。 『ありがとうございます』  隊長は静かに頷いた。 『例のものは、いつもの場所に…』 「ありがとう。最後にたっぷりと堪能させてもらおう」  一礼して立ち去ろうとしたら「それから…」という声が聞こえた。振り返ると隊長はそっと僕に近づいて囁いた。 「次に来る男に、今までのやり方は通じない。心せよ」  僕は唾を呑むと、静かに頷く。  それから1週間も経たないうちに、守備隊は村を去っていった。
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