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ナイトキラー
2日後。討伐隊は村を発った。総勢60人の兵士たちは、山の東側から乗り込んで来た。統領が重傷を負った時より明らかに多い。
「長槍とクロスボウですか…グリフォンを警戒しているようですね」
どうやら守備隊長は、僕よりグリフォンたちを恐れているようだ。当然と言えば当然だろう。前の戦いで討伐隊を返り討ちにしたのは統領だ。
『どんな武器を持ってるかわかる?』
そう尋ねると、キコはキコエルの姿となり、翼にある鳥の目を用いた。鳥の目は人間とは比較にならない視力を持つため、とても重宝する。
「大型の槍とクロスボウです」
『ホースキラーか!?』
これらの武器が登場するまで、騎馬隊は戦場の花形というべき存在だった。その機動力と突進力は圧倒的で、敵歩兵を包囲、殲滅してきたからだ。
ところが、そんな騎馬隊にも弱点があった。馬自身の身体は大きく、重鎧を用意する事が難しかったのと、急には止まらない点。
大型のクロスボウは、馬の脆い鎧を打ち砕いて倒し、攻撃を逃れた騎馬隊も長槍で一網打尽になったと聞いている。
アマは、心配そうに表情を曇らせた。
「どう…するの?」
『大丈夫』
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