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 「俺もいっぱい嘘ついちゃうから、偉そうなこと言えないけど。人は嘘をつくと心が汚れちゃうんだって。でも汚しちゃったら洗い流してキレイにすればいいんだ。こびりついて取れなくなる前に」  それに―――、充は誰も座ってない席に目をやる。  「やっぱり光平のせいになるのはいやだ。光平言ってた。たぶんすごく怯えてるはずだって。だから助けたいって。あいつ、自分のせいにされてるのに本当に心配してた」  充は教室を見渡して言った。願いを込めて。  「この中に花瓶を割った人がいるなら、お願いだから本当のことを言ってほしい。怖いと思うんだけど、でも、それでも」  充は無意識に教室にいるはずの誰かに向けて頭を下げていた。  「お願いだから、本当のことを言ってください」  クラスが充の言葉を受けて静寂に包まれた時、突然教室のドアがガラガラと音を立てて開かれた。全員が音の方を向くと、そこには光平が立っていた。  「光平」  光平が静かに教室へ入ってきたとき、微かに聞き取れるくらいの声が充の後ろから発せられた。  「・・めん・・・なさい」  見ると、声の主は豊田あかりという女子だった。  豊田は震える声で、今度は教室の前にいる光平に届くくらいの声で言った。  「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」  その目から涙が溢れた後も、彼女はなんとか言葉にしようとしていた。     
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