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 「怖くて、本当のこと、言えなくて黙ってたら、黒井君のせいになって、どんどん言えなくなって、ごめんなさい・・・お花の水、替えようと思ったら、落としちゃって、それで、」  そこまで言ってとうとう泣き崩れた彼女の元に光平は静かに近付くと、優しい声で言った。  「こんなに怖かったのに本当のことを言ってくれてありがとう。もう大丈夫だよ。豊田さんの心は汚れてなんかいないから」  声をあげて泣く豊田の前で、光平の目からも大粒の涙が溢れていた。  その後、充は積極的に豊田に話しかけた。この事件をきっかけに彼女がクラスで孤立しないように。元々クラスの中心人物でもあった充のそんな働きの甲斐もあり、豊田あかりはクラスでも今まで通り過ごすことができた。  そして、それと同時に、光平も少しずつクラスに馴染むことが出来ていった。
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