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 自分の替わりに涙する光平を見て、充の中で何かが、ふっと解けた気がした。それと同時に両目からは抑えていた涙が溢れて出していた。  「おじいちゃんが言ってたよ。本当に悲しいときは我慢しないで泣けばいいんだって。そうやって、涙と一緒に悲しいことを少しずつ流していくんだって」  光平の言葉に充は更に涙を流した。もう込み上げるものを抑えようとも思わなくなっていた。  夕暮の空は真っ赤で、小さな二人の目もまた同じ色に染まっていた。
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