1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「あ、俺も見た」、「うそ!」などという声が飛び交う中、光平は何も言わず、その手は小刻みに震えていた。それは、傍から見ると犯人と思われても仕方のない様子でもあったが、充はそれが別の理由から来てることを知っていた。
「やめろよ。光平は犯人じゃないよ」
「なんで充が知ってるんだよ。それに見ろよ、犯人じゃないならなんであんなに震えてるんだよ」
「それは―――」
説明しようとして、充は昨日の約束を思い出し言葉に詰まる。
「なんだよ。ほら、やっぱり犯人なんだよ」
「ちがう!」
二人の間に先生が「もうやめなさい」と入ってきた。
「黒井、どうなんだ?何か知っていることがあるなら言ってくれないか?」
「・・・わかりません」
「わからない?」
「僕が犯人なのかどうかわかりません」
教室が再びざわめきだす。
なんだよそれー!わかんないわけないじゃん!絶対犯人だよ!
「黒井、大丈夫か?」
先生が問いかける。見ると、光平の顔は色を失い息は荒く今にも倒れてしまいそうだった。
光平は先生に連れられて保健室に行くと、その日学校を早退した。
クラスでは光平が犯人であることが決めつけられてしまい、そして、次の日から光平は学校を休むようになった。
最初のコメントを投稿しよう!