3

2/8
前へ
/14ページ
次へ
 「でも、そしたらやっぱり花瓶を割った奴はあのクラスにいるんだな。くそっ、そいつ光平のせいになって今頃ホッとしてるんだろうな」  「ホッとしてるならまだいいけど・・・」  「え?」  「あの時―――誰かの気持ちが入ってきた時、すごく怖かったんだ。怖くて怖くて震えが止まらなかった。僕が疑われだしたら、ホッとするどころかもっと怖くなった。それは、自分の気持ちだったのかもしれないんだけど・・・でも、もし、あんな気持ちが続いてるなら」  助けてあげたい。  光平はそう言った。  自分のせいにしている誰かに対して。怒るのではなく手を差し伸べようとしている。それは充をひどく驚かせた。きっと自分だったらそんなこと思えない。  「光平はアレだ。おひとよしだ」  充は最近覚えた言葉を口にする。たしか、こういう時に使うので合ってるはずだ。  「そうなのかな」  でも、そんな光平のことを充は好きだと思った。だから、光平が助けようとするなら、自分も力になりたかった。  「・・・でも、助けるってどうしたらいいんだ?」  答えが見えず、二人が頭を悩ませていると、     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加