第三章

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 ブライアン・ケントは、トーマスの店を訪れていた。トーマスから詳しい話を聞くためである。  「それで、その二人はミルドレット捜査官と相棒に間違いないんだな?」ケントは念を押した。  「ああ、間違いない。ハーベック会長から渡された写真で確認している。二人は今、リバーサイドホテルにいるはずだ」  「どうしてそれがわかるんだ」  「あの二人に渡したキーホルダーに発信装置がついている。どこにいたってわかるさ」  「そうか、わかった。ご苦労さん」  「ところで、あんた今、ミルドレット捜査官って言わなかったか」  「ああ、そう言ったが」  「呼び捨てにしないのか」  「どういうことだ」  トーマスはため息をついて言った。「いいか、あんたは今、ハーベック会長の下で働いているんだろう。会長からすれば、ミルドレットは憎くてしかたがない相手だ。ここではいいが、会長の前で呼び捨てにしなかったら、あんたが何を言われるかわからないぜ」  「ああ、そ、そうだな。忠告ありがとう」ケントは礼を言って店を後にした。   
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