第三章

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 「それで、これからどうするの?」  「どうするって、ハーベックを捕まえるしかないじゃんか」  「どうやって? 証拠のキーホルダーは燃えちゃったのよ」  「そうだけど……。まあ、なんとかするさ」  「ねえ、レイ。今回の件では、私のほうがショックを受けているのよ。それなのに、あなたのほうが取り乱してどうするのよ」  「それはそうだけど、これ以上、他の人を巻き込みたくないんだよ。あのブティックの店主を問い詰めて、吐かせてやる」レイはそう言うと、部屋を出ていこうとした。  「あ、ちょっと待って」ミオが声をかけた。  「何だよ」レイは立ち止まって振り返った。次の瞬間、鳩尾に痛みが走った。体の力が抜けていった。そしてそのまま、倒れこんでしまい、気を失った。ミオは、レイの体を抱き起こしてベッドに寝かせた。  「ごめんね。これは私とハーベックの問題なの。あなたはここで眠ってて」ミオは独り言のように言って部屋を出た。
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