第三章

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 ミオは車でハーベック興業の本社に連れてこられた。ジェファーソンビルのはずれにある大きな建物である。  車を降りたミオは、相変わらず背中にピストルを押し当てられており、やむなく建物の中に入った。エレベーターに乗せられ、応接室に連れてこられた。そこで男はドアを開けると、ミオを無理やり押し込んだ。  「ちょっと、もっと丁寧に扱いなさいよ」ミオは男に向かって言ったが、相手にされなかった。  ミオはあらためて部屋の中を見渡した。巨万の富を築いたハーベックの会社にふさわしく、広々とした部屋は豪華な家具や絵画、装飾品であふれている。ミオはハーベックに対する新たな怒りがこみ上げてくるのを感じた。ハーベックは善良な市民をだまして財をなした。この部屋はそれを象徴している。その陰で、多くの人が泣いているのだ。そしてそのハーベックを逮捕したミオは命を狙われ、レイやマイケルまで巻き込まれた。  やがて、ノックすることなくドアが開いた。
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