序章

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 どういうわけかフェアレディ号は、FSPが取り扱うような事件が起こりそうにない地域の上空を飛行し続けている。静けさの中をエンジン音が鳴り響き、サーチライトの明かりが闇夜を照らし出していた。  そしてそのフェアレディ号を、一台の自家用ヘリコプターが追跡していた。ヘリコプターは、つかずはなれずフェアレディ号の後を追っている。二人の捜査官は、ヘリコプターの存在に気づいているはずだが、なぜか追跡をかわそうとはしない。  やがてフェアレディ号は、裏山の上空にさしかかった。ここまでくると、人家はほとんど見当たらない。それを見計らったように、ヘリコプターに搭載されたミサイルの照準器が、フェアレディ号を捕らえた。この照準器は暗視型になっており、暗闇でも確実に標的を捕らえることができる。ヘリコプターの操縦士は、フェアレディ号との距離を確認すると、ミサイルの発射ボタンを押した。ミサイルは轟音を立てて、まっすぐフェアレディ号へ向かっていった。
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