第三章

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第三章

 ハーベック興業は、表向きは不動産販売業者だが、裏ではいわゆる原野商法を行っていた。拠点となるジェファーソンビルには、未開発の土地が多く存在する。ハーベック興業はまず、別名義のペーパーカンパニーを作り、それらの土地をタダ同然で買い占めた。そしてそこに大手企業が工場を建設するという嘘の情報を流し、値上がりすると信じた人たちに高額で売りつけた。もちろん、工場が建設される話など全くなく、だまされた事に気づいた人たちが会社に問い合わせても、すでに会社はなくなっていた。こうしてハーベック興業は巨額の富を築いたのである。  やがて被害者たちは訴えを起こし、FSPが捜査を始めた。その捜査陣の中に、当時新人だったミオ・ミルドレット捜査官がいた。今から3年前のことになる。ミオは新人らしからぬ粘り強い捜査で、ハーベック興業の会長ジョナサン・ハーベックが事件に絡んでいる証拠をつかんだ。そしてハーベックに手錠をかけたのもミオだった。
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