第三章

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 「そんな事があったのか」ジェファーソンビルへ向かう途中、レイはジェットモービルの中でミオの話を聞いた。  「うん……。もう少しで、あなたまで巻きこむところだったわね」  「それはいいんだけどさ、ハーベックは保釈されたんだろ?」  「ええ、多額の保釈金を積んでね」  「だったら、何であんたの命を狙ってるんだ? そこまでするほどの事じゃないだろう。社会的地位も失ってないし」  「それが私にもわからないのよ。プライドでも傷つけたのかな」  「取調べのとき、ひどいことを言ったんじゃないのか」  「失礼ね。取調べは先輩捜査官が行ったから、私は関係ないわよ」  「じゃあ、何で?」  「それはわからないけど……。それより、ハーベックは私たちが死んだと思っているんでしょ」  「たぶんな」  「だったら、私たちが生きているってことがばれないようにしなきゃならないんじゃないの? どうする?」  「変装でもするか」  「古典的な考えね」  「他に方法がないだろう。軍資金ももらったことだし」  「それなんだけど、さっき見たら、そんなに入ってなかったわよ」  「私たちの退職金ってそんなものなのか」  「勤務期間が短いんだから、仕方ないじゃない」  「部長もそこら辺を考えてくれたらよかったのに」  「文句言わないの。もらえただけでもありがたいと思わないと」  「はいはい、わかりました」  やがてジェットモービルは、目的地のジェファーソンビルに近づいてきた。ここで二人は、ジェットモービルの飛行を止め、陸上へ降り立った。ジェットモービルの使用はFSPの捜査官に限られているので、レイとミオの正体がわからないようにするためだ。陸上に降りて翼やジェットエンジンを収納すれば、一般の車両と見た目は変わらない。ここから先は、陸地を走行することになる。
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