4人が本棚に入れています
本棚に追加
「たっちょ~ん もう帰っちゃうの!?」
たっちょんって…
それって僕の事だよね?
授業が終わると僕は一目散に5年3組の教室を出るのが日課なんやけど…
やけど いっつも僕を引き止める声が必ずあるんよね…。
もちろん それは今日もで。
「なに?安田くん 僕急いでんねんけど…」
このやり取りも毎日しとるよね…?
「そうやけど~ぉ」
「用事無いんやったらもうええかな!?」
多分(?)同じ性別だと思う同じクラスの安田くんはちょっと…否 かなり変わった子やと思う…。
赤とかピンクとかとにかくカラフルでかなり個性的な服をいつも着とって…(たまにスカートの日もあんねん…)
僕が転校して来たその日から何故か勝手に僕の事を“ たっちょん”て呼んでんねんけど…僕は了承した覚えは無くて…
せやけど それを拒否したり訂正するのも何や面倒臭い気ぃがして否定せんでおったらいつの間にか定着してしもた…。
「章ちゃん あかんよわがまま言うたら…ごめんなたっちょん」
何故かいっつも僕の前でくねくね なよなよしとる安田くんの後ろからへらへら笑いながら丸山くんが現れた。
「わがまま何か言うてへんも~ん…マルのいじわるぅ…」
僕と丸山くんよりも背が低い安田くんは上目遣いでいじけとる。
うん…
このやり取りも毎度の事で…。
「たっちょん急いでんねんやろ?章ちゃんの事は気にせんでええから行ってええよ」
「そっ?
そんなら僕行くな…また明日~」
毎度の事やから僕も遠慮なくそう言うて止めた足をまた進める。
「あ!たっちょん待ってぇや~」
「あかんよ章ちゃん!」
背後ではまたまた毎度の安田くんと丸山くんのぎゃいぎゃい言うてる声がしとるけど…
てか いつも思うんやけど丸山くん…もう少し早く安田くんを止めてくれへんかな!?て…
学校を出る時間が遅くなるとその後が大変やねんもん!
「あっちゃ~今日も遅刻や…」
昇降口の壁掛け時計は4時30分を回っとって僕は靴を履き替えると走って小学校を飛び出した。
亮ちゃんごめ~ん!急いで行くから泣かんと待っとってね!!
最初のコメントを投稿しよう!