隣のイケメンに〇〇◯を拾われました。

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 **  家に帰ると洗濯物を取り込むためにベランダへ出る。ハンガーごと室内に入れ、クローゼットにきれいに並べる。ピンチハンガーはとりあえず引っ掛けておいて、じょうろに水を汲んだ。  動揺して花に水をやっていなかったことを思い出したのだ。  少ししなびていたけれど、枯れてはいない。  オレンジ色のスミレはホームセンターで一目惚れして買ってきた。寒さが和らいだからか、次々に花を咲かせて心を慰めてくれている。  スミレが終わったら何を植えようかな。  そんなことを考えていたとき、視界に見慣れない物が移り、私は目を眇めた。 「…………?」  近づいて拾う。開いてみるとクマ柄の四角い布。なんだかぱりっと糊がきいてるし、真新しい。これってなんだっけ? 首を真横に傾け―― 「へっ? ――ええ!?」  思わず声が出たときだった。 「すみません」  隣のベランダから声が上がり、私はぎょっとして手に持っていた物を手落とした。 「洗濯物が飛んでいってしまったみたいで。拾わせてもらっていいですか?」 「えっ、え――あああああの」  何と返していいかわからない。だってそれは昨日の私のセリフであって。  まごまごしていると、隣との仕切り板の向こう側から、ひょいと顔が飛び出した。 「あ、それですそれ」  握りっぱなしの布を指差されて、私はぎゃっと声を上げる。やばい、パンツ握りしめてた! っていうか、この顔でクマ柄!? ありえん! 「ご迷惑おかけしました。風、ほんと強くて困っちゃいますね」  手を差し出され、恐る恐る近づく。手に持った布を差し出すと、彼は「ありがとうございます」と笑う。  その気安さに私は、すべてが許された、そんな気になる。心が緩み、ずっと引っかかっていた言葉が喉からこぼれ出た。
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