隣のイケメンに〇〇◯を拾われました。

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 手すりに身を乗り出して、隣を覗き込む。  《危険物》は隣家のベランダの隅に落ちていて、おおよその距離は二メートル。いくら伸ばしても手は届かない。  外に落ちてたらこっそり拾いに行けたのにさ! どうしてよりによってそこに落ちてしまうわけ!?  私はベランダに屈みこんだまま、今後自分に降りかかるであろう二次被害について真剣に悩んでいた。  パンツ一枚でどうしてそこまで? と思うかもしれないけれど、考えてみて欲しい。  隣人が男性だとすると? しかも自分と同じ年代の、若い男だとしたら?  たまたまエレベーターなどで一緒になったときに挨拶程度はするけれど、名も知らないくらいの通りすがりに近い人だ。近所付き合いをするつもりがなかったので、会ってもすぐに顔を下げてしまっていた。顔さえもあまり見ていないので、どんな人なのか全くわからない。  彼の方もきっと同じだと思う。  それでも彼はきっと落とし主を確定するだろう。  なぜなら彼の部屋は三階の角部屋であり、もし洗濯物が迷い込むとしたら、うちか上階の住人となる。  だが私には既に前科がある。  以前に飛ばした洗濯物の三回のうち一回が、彼の部屋に迷い込んでいたのだった。
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