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隣のイケメンに〇〇◯を拾われました。
「あーもう! なんでよりによってアレを飛ばしちゃうわけ!?」
ベランダに突っ伏したくなった私の髪を、苦境を作った原因の大風が巻き上げていく。
千葉という土地は風が強い地域らしい。
就職先に選んだ会社は江戸川にあったけれど、縁あってこの土地に住み着いた。
突風が吹いていても誰も話題にしないところから、普段から風が強い土地なのだろうとは思っていたけれど……。正直、ここまでとは思わなかった。
このマンションに引っ越してきてまだ一月だが、洗濯物が飛んで行くことは既に三回。
ものが飛ぶ度に対策を重ね、ハンガーは物干し竿を挟めるタイプに買い替えたし、ピンチハンガーもステンレスの丈夫そうなものに買い替えた。
だけど、太平洋で生まれた千葉の風は手ごわかった。
本日飛んだものは、しっかりとピンチで挟んだはずの下着だった。
一応、一人暮らしの女の嗜みとして、そのまま堂々と干すことはしなかった。バスタオルで囲いを作り、その中に干していたのだけれど……売りとなっている肌触りの良さが仇となったのだろうか。
引っかかりがないがゆえに、見事にバスタオルの壁を飛び越えて、更には隣の部屋の手すりまで飛び越えて着地していた。
――隣の部屋のベランダへと。
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