隣のイケメンに〇〇◯を拾われました。

1/12
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

隣のイケメンに〇〇◯を拾われました。

「あーもう! なんでよりによってアレを飛ばしちゃうわけ!?」  ベランダに突っ伏したくなった私の髪を、苦境を作った原因の大風が巻き上げていく。  千葉という土地は風が強い地域らしい。  就職先に選んだ会社は江戸川にあったけれど、縁あってこの土地に住み着いた。  突風が吹いていても誰も話題にしないところから、普段から風が強い土地なのだろうとは思っていたけれど……。正直、ここまでとは思わなかった。  このマンションに引っ越してきてまだ一月だが、洗濯物が飛んで行くことは既に三回。  ものが飛ぶ度に対策を重ね、ハンガーは物干し竿を挟めるタイプに買い替えたし、ピンチハンガーもステンレスの丈夫そうなものに買い替えた。  だけど、太平洋で生まれた千葉の風は手ごわかった。  本日飛んだものは、しっかりとピンチで挟んだはずの下着だった。  一応、一人暮らしの女の嗜みとして、そのまま堂々と干すことはしなかった。バスタオルで囲いを作り、その中に干していたのだけれど……売りとなっている肌触りの良さが仇となったのだろうか。  引っかかりがないがゆえに、見事にバスタオルの壁を飛び越えて、更には隣の部屋の手すりまで飛び越えて着地していた。  ――隣の部屋のベランダへと。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!