Graduation

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 思い切って告白してしまおうか。ふられる公算のほうが圧倒的に高いが、たとえふられたとしても、このまま想いを心の中で燻らせ続けるよりはずっといいだろうし、きっぱりと諦めもつくかもしれない。そんなことを考えていると、彼の手が私の方に伸びてきた。私は反射的に身構えてしまう。それでも彼の手は止まらず、そのまま私の髪を目がけて伸びてくる。  彼の手は私の右側のおさげに触れると、そのまま髪留めのゴムを外した。それから、左側のおさげのゴムも外す。私の髪は解けて、フワリと広がった。私は指で梳いて髪を整える。 「何? 何でゴム外すの?」  私は目の前で笑顔を浮かべる彼に問う。 「ずっと思ってたんだ」 「何を?」 「たぶん、君はこの方が可愛いだろうって」  意外な彼の言葉に、思わず顔が熱くなってしまう。だけど、どうして彼が突然そんなことを言い始めたのかがわからない。それでも、鼓動はどんどん高鳴ってゆく。  そんな私に、更に彼の手が伸びてきて、今度は眼鏡を取り去った。強い近視の私は、彼の顔さえまともに見えなくなってしまう。だけど、今は彼の顔が見えないくらいの方がちょうどいいのかもしれない。このまま彼の顔を見続けていたら、心臓が破裂してしまうかもしれない。 「眼鏡も、コンタクトに変えたほうがいいかな」  彼は言うが、どんな表情をしているのかは私にはわからない。 「ねえ、眼鏡返して」 「ダメ。後で返すよ。それより、入学式の前の日のこと、覚えてる?」 「覚えてるよ。公園の桜が満開で、私の足元で黒猫がサンドイッチ食べてて、それであなたがやって来た」     
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