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私は何が起ころうとしているのか、全くわからなかった。ただ、彼の言葉に動揺して、足が地についていないようにフワフワした感覚に襲われる。そんな私を彼は優しく抱きしめて、耳元で囁く。
「変に飾らない君が、ずっと好きだった。みんな、化粧をしたりして、自分を良く見せようと必死だけど、君はそんなことをしない。いつでも素のままでいる君は、僕にとって誰よりも魅力的だ」
「ウソでしょ?」
「ウソじゃないよ。三年間、ずっと思い続けてきた。避けられてるようで、辛いと思うときもあったけど、今日という日に告白するって、ずつと前から決めてた」
彼はそう言うと、小さく行きを吸った。その音が、私の耳の奥に響く。
「僕と付き合ってください」
彼の言葉を聞いた瞬間、どっと涙が溢れてきた。きちんと彼の言葉に答えたいのに、喉が詰まって声が声にならない。私はただ必死に首を縦に振った。
学校中に聞き慣れたチャイムの音が響き渡る。それは、私たちの未来を祝福する鐘の音のようだった。
【完】
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