Graduation

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 残念ながら、私は決して美人なわけでも可愛いわけでもない。メガネに三つ編み、膝が隠れる丈のスカートと、地味を絵に描いたような女だ。クラスメイトの女子は、学年が進むにつれてバッチリ化粧をするようになっていったし、スカートを折って短くして可愛らしくみせていった。私はそんな流れに完全に乗り遅れていたし、そもそも化粧の仕方も知らないし、きっと短いスカートなんて似合わない。  そういう訳で、せっかく三年間も憧れの彼と同じクラスだったというのに、殆ど話をしたこともない。いつか彼に話しかけて、恋人になるとまではいかなくても、仲のいい友達になるくらいはしたかった。だけど、私は自分よりもずっと可愛い女子に囲まれる彼に話しかけていく勇気がなかった。明日こそは、明日こそはと思っているうちに、今日の日がやってきてしまった。  成績優秀な彼は、東京の一流大学に合格している。私は彼と一緒にいたい一心で、背伸びして同じ大学を受験したけれど、世の中はそんなに都合良くはできていない。結局、私は地元の女子大学に合格しただけだ。彼と同じ大学でなくても、せめて東京の大学に行きたいと思ったけれど、両親の反対で断念せざるを得なかった。同じ学年の女子の中には彼と同じ大学に行く人もいる。私はそんな人が羨ましくてならない。  私が彼と出会ったのは高校の入学式の前日のことだ。それは、まだ少し冷たさの残る春の風が柔らかく吹く晴れた日だった。     
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