Graduation

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 入学式を翌日に控えた私は、何となく落ち着かなかった。家で本を読んでいても、内容が全く頭に入ってこない。母と話をしていても上の空。母も呆れて、喋ってくれなくなった。  何をしてもとにかく落ち着かない私は、気分転換をするために、散歩に出かけることにした。いつも外に出るときは、髪をきちんと三つ編みにして、それなりに身なりを整えるのだけど、急に思い立った散歩だったから、髪も結わずに家を出る。外に出ると、風が優しく私の髪を揺らした。  行く宛があったわけではないから、適当にブラブラと歩く。途中、コンビニに寄って、ハムサンドと牛乳を買った。少し小腹が空いていたから、どこか適当な場所で食べようと思ったのだ。私は住宅街を抜けて、大きな通りを南へ歩いた。  五分ほど歩いたとき、私の目に満開の桜が飛び込んできた。あまりにも見事に咲き誇るその桜に、私はまるで引き寄せられるように駆け寄る。そこは小さな砂場と滑り台、ブランコとベンチが一つだけある小ぢんまりとした公園だった。  見事に桜が咲いているのだから、誰かが花見でもしているのではないかと思ったが、公園の中に人影はない。私はベンチに腰を下ろし、買ってきたハムサンドを食べることにした。ビニール袋からハムサンドを取り出し包装を外す。そのときだった。私の手からサンドイッチが一つ、ポロリと転がり落ちる。 「あっ!!」     
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