特別な日

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こんなはずじゃなかった モヤモヤした気持ちが拭えず思わず溜め息が漏れる。 慣れないパートを終え、ショッピングモールのエスカレーターを降りながら朝子は眉間に皺を寄せていた。欲しかった本とスカートなどお目当ての物は買った。あとは食品だけだ。足早に歩きながら、今朝の孝之との喧嘩を思い出していた。孝之に、楽しみにしていた番組の録画を消されてしまったのだ。怒る朝子への謝罪はそこそこに「朝からそんなに怒るなよ」と、うんざりした顔で溜め息を吐きながら孝之はあっさりと出勤してしまった。行き場を失った怒りは、今までの積み重ねを思い出して、ますます大きなものになっていくのを感じた。今回の件ばかりではない。結婚してしばらく経ち、最近はいつもこんな感じだ。 いつから口論ばかりになってしまったんだろう。 いつから、不満が募っていったのだろう。 朝子には少なからず夢があった。 まずはマイホームに住むこと。 食品コーナーでサーモンとレタスをカゴに入れる。 マイホームどころでは無かった。孝之は転勤族の為、最低2、3年に一度は引越しをしなければならなかった。 転勤というのは理不尽なものだ。
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