溺愛

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アキは高校に入ってから少し引っ越して、駅からは、アキの家まで歩いて20分。 俺はアキの家とは反対側に向かって、30分くらいかかるところだったが、今日はさすがにアキの家まで歩いて行きたかった。 「辛いだろうけど…詳しく聞かせてくれ。自殺じゃないのか?殺されたって…」 「私が別れたのは、2月末。少しして、大坂が来て…。しばらく経って昨日、彼は殺された…」 「…殺したのって…」 「ほぼ間違いなく、大坂だと思ってる…」 「…マジかよ…。殺したって確証はあるのか…?なんでも、警察は自殺って…。それにどうして、元カレが死んだ翌日にこんな…」 「彼には、最後は浮気されたからね…憎かったよ。でも、それでも死んでほしいなんて思ってなかった!!」 「…」 「確証はないよ…。でもさ、タイミングがおかしいと思わない?それにあの言葉!!」 『君を苦しめるなんて、ひどい男だ。そいつも苦しめばいいのにな』 「っ…!!」 「何かをする前触れのセリフとしか思えない…。確かにね、昨日見てきたけど、彼の死に様は、自殺のように見えた。なんて言ったって、彼の字で書かれた遺書があった。だから…自殺としか判断されなかった」 「…何か、引っかかるよな…。というか…アキ…強いな…俺なら潰れてそうだ…」 「…愛しているときじゃなくてまだよかったよ。それに…ネコちゃんに会えたことが、何よりも良かったかな…」 「…そんな。俺は話を聞いただけだ。」 「ううん。ネコちゃんに話すだけで、自分が保てるの」 不意に、アキを抱きしめてやりたくなった。 「私は…絶対に大坂が何かしら絡んでいると思う。さっきの、頼みっていうのは…」 「アキラを探し出して、すべて聞き出せば良いんだろ?」 「…協力、お願いできる?」 「当たり前だ。アキを二度と苦しませられないように、しっかりと裁かれるようにしなきゃな」 「……うん。お、お願いね」 妙な間が、少し気になった。 大坂からのストーカーに悩んでいたあきなは、一度メッセージアプリのアカウントを変えていた。 祐介とあきなは今の連絡先を交換し、あきなの家に着くと、突然あきなが振り返った。 「…ごめんね、さっき嘘言った」 「はい?」 「…私は…大坂が裁かれることは望んでない」 「え…?」
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