16人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
第90話 【激闘コロシアム─前編─】
華々しく開催された予選大会で約180名いた選手は一挙に30名に絞られた。
控室では、おのおのがつぎのブロックが訪れるまでの準備をしていた。
予選で生き残った30名には、月弥と羅巌もいた。
「月弥は、棄権する」
「なんだよ羅巌、どうした?」
「生き残ったはいい。でも、これからどうなるかわからない」
「そらァ生きてりゃ、なにがおこるかわかんねえさ」
「あの溝、みたろ。あれ、だめ」
「ああ、あれな」
それは予選戦闘中、ほかのメンバーが月弥の登場にみな顎を外していたのをよそめに、円盤端にうがたれた巨大な空洞。その下は、ばりばりと電撃が奔っていたのだ。
「あそこに落ちたら、どうなっちまうのかな」
「たぶん、生きて、帰れない」
「かもな」
「月弥、あんなとこに出させられない」
「───」
「身勝手じゃ、通らない。みんな、待ってる」
「それは羅巌、おめぇもいっしょだよ」
「だからなんでここに来たの!」
「っるせぇな!おまえ、Aブロックだろ、さっさと行け」
羅巌は、しかたなく、控室を出ようとしたとき、月弥が止めた。
「・・・絶対死ぬんじゃねえぞ」
羅巌は無茶苦茶だコイツ、と吐き捨てたい思いをぬぐい、光指す会場へ降り立った。
最初のコメントを投稿しよう!