第90話 【激闘コロシアム─前編─】

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第90話 【激闘コロシアム─前編─】

    華々(はなばな)しく開催された予選(よせん)大会で約180名いた選手は一挙に30名に(しぼ)られた。 控室(ひかえしつ)では、おのおのがつぎのブロックが訪れるまでの準備をしていた。 予選で生き残った30名には、月弥(ツクヤ)羅巌(らがん)もいた。 「月弥は、棄権(きけん)する」 「なんだよ羅巌、どうした?」 「生き残ったはいい。でも、これからどうなるかわからない」 「そらァ生きてりゃ、なにがおこるかわかんねえさ」 「あの(みぞ)、みたろ。あれ、だめ」 「ああ、あれな」 それは予選戦闘中、ほかのメンバーが月弥の登場にみな(あご)を外していたのをよそめに、円盤端(えんばんはし)にうがたれた巨大な空洞(くうどう)。その下は、ばりばりと電撃(でんげき)(はし)っていたのだ。 「あそこに落ちたら、どうなっちまうのかな」 「たぶん、生きて、帰れない」 「かもな」 「月弥、あんなとこに出させられない」 「───」 「身勝手じゃ、通らない。みんな、待ってる」 「それは羅巌、おめぇもいっしょだよ」 「だからなんでここに来たの!」 「っるせぇな!おまえ、Aブロックだろ、さっさと行け」 羅巌は、しかたなく、控室を出ようとしたとき、月弥が止めた。 「・・・絶対死ぬんじゃねえぞ」 羅巌は無茶苦茶だコイツ、と吐き捨てたい思いをぬぐい、光指す会場へ降り立った。  
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